近年グローバル化の流れがますます進んでおります。こうした中、本市の子どもや若者が国際交流の経験を通じて異なる文化を理解し、グローバル化社会を生き抜く力を身につけることの重要性が一層高まっていると思います。
一方で、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で海外への訪問は制限されるなど多くの市民にとって国際交流を経験する機会が減少しております。新型コロナウイルス感染症は、人々の生活に大きな影響を与えており、特にその中でも留学などを考えていた学生が海外で学ぶという機会、夢を断念せざるを得ないこの状況は、大変大きな影響を受けたものだと思います。
グローバル人材育成につながる国際交流の機会の提供は、本市にとっても大変意味があります。現状に甘んじて交流を停滞させてしまうのではなく、子どもや若者に国際交流の機会を提供し続けることは責務だと思います。
そこで、お伺いいたします。本市では、この国際交流を行う目的、必要性をどのように考えていらっしゃるでしょうか。
市民生活課長(網野光邦)
国際交流につきましては、市民の国際感覚を涵養し、意識を高め、友好交流を深め、他国の文化に触れる機会を作り、市民に多様な価値観を学ぶ場を提供するなど国際感覚豊かな人材の育成に寄与することを目的としています。
必要性につきましては、小学校での英語教育の導入などグローバルな視点を持った豊かな人材が求められる時代となっていることから、文化、芸術など外国の環境に触れることにより国際的な感覚や知識の向上につながるものと考えています。
本市と姉妹都市でありますアメリカのエイムズ市へは2013年、フランスのボーヌ市へは2017年に私、本市の中学生訪問団とご一緒に行かせていただきました。そのときの生徒の皆さんは、お世話になるホームステイ先の方々との交流、研修両面から得がたい大変有意義な経験をされているように見えました。
国際交流事業は、1日では成らず過去からの一つ一つの交流の積み重ねがあるからこそ訪問する先々で温かいおもてなしと研修の機会をいただけるそれが可能であると思います。そこで、これまでの交流の取組、課題をどのように捉えているのかお伺いします。
市民生活課長(網野光邦)
国際交流のこれまでの取組として、アメリカ・エイムズ市への中学生の派遣とエイムズ市民の受入れ、フランス・ボーヌ市への中学生の派遣、市内在住の外国人の方との国際交流のつどいなどがあります。
派遣事業につきましては、隔年でエイムズ市とボーヌ市に中学生を派遣し、また、エイムズ市民を隔年で本市にお迎えし、ホームステイなどをしていただき、市民間の交流を行っています。
交流事業につきましては、国際交流委員会の委員が中心となり、市内在住・在勤の外国人の方々と市民の交流を図るため、国際交流のつどいを開催しております。
課題としましては、派遣事業に参加したい希望の中学生が多く、全員を派遣できないことや交流のつどいにおいて市内に住んでいる外国人の方々の参加が少数であることなどが挙げられます。
今、国際交流のつどいというお話がありましたが、市内外の外国人の方々と市民が触れ合い、そして交流できる貴重な機会であると思います。私も国際交流のつどいに参加させていただいたことがありますが、言葉は通じなくても身振り手振りジェスチャーでコミュニケーションを図っており、とても楽しい交流の場であるように感じました。
その国際交流のつどいですが、過去に開催された事業はどのような内容で、またどういった国の方が参加されていらっしゃったでしょうか。
市民生活課長(網野光邦)
令和元年度と2年度におきましては、コロナの影響により交流事業は実施できませんでしたが、平成27年度から30年度までの4年間の国際交流のつどいの内容につきましては、餅つきやほうとう作り、また絵手紙作り等により日本の文化を体験していただきました。
参加者につきましては、延べ人数で中国人3人、ベトナム人32人、スリランカ人2人、インドネシア人7人、イギリス人2人、アメリカ人4人、スロバキア人2人、日本人と国際交流委員117人、合計で169人でありました。
国際交流のつどい、これはこのコロナ禍においても内容にもよりますが、感染症対策を万全にすれば開催可能ではないかと考えます。例えば会場とオンラインでの参加可能なハイブリット形式による事業などです。いずれにしても、異文化に触れ合い様々な方々との相互理解が深まる事業展開を期待しております。
本市の国際交流事業としては、アメリカのエイムズ市、フランスのボーヌ市との交流、市内在住・在勤の外国人との交流のつどいを開催されてきているわけですが、これらの交流の成果はどのように感じてらっしゃいますでしょうか。
市民生活課長(網野光邦)
これまでの交流の成果につきましては、次世代を担う中学生に外国でのホームステイを体験してもらうことにより、その国の文化に触れ、感じていただけたこと、外国語や国際社会に興味を持ち、交流が発展したこと、また国際交流のつどいにつきましては、日本の文化や食を体験してもらうことにより、日本や本市を理解していただけたことがあります。
これからはなお一層交流が盛んになるよう、市内に在住の方々とも連携し、推進を図ってまいります。
それらの成果を踏まえ、今後の交流の方向性についてはどのようにお考えでしょうか。
市民生活課長(網野光邦)
今後の交流の方向性についてでありますが、昨年度はコロナ禍の中、感染症のまん延防止の観点から、各事業は中止とさせていただきました。コロナが終息した後は、中学生の派遣事業やエイムズ市民の受入れ等再開していきたいと考えております。
また、今年度につきましては、コロナ禍でも行えるインターネットを利用したメールや手紙による交流事業等、国際交流委員会の委員を中心に現在検討中であります。
例えば情報交流としてそれぞれ甲州市、エイムズ市、ボーヌ市の広報紙やホームページなどで交流都市の情報発信ということもできると思います。また、双方の市立図書館でそれぞれの市の書籍の展示コーナーを設けるなどといった実際に現地に行かなくても交流都市の文化や観光に触れる交流方式もあると思います。
それから、特産品の交流というやり方もあります。物産の交流は諸団体の連携も必要になるかもしれませんが、実際に手に触れられる物が介在することで、交流の実感が伝わりやすいのではないかと考えます。
私事になりますが、私家族は、ここ10年くらいホストファミリーとしてアメリカ・エイムズ市の方々の受入れにかかわらせていただいております。いらした方ほぼ全員とその後SNSでつながったり、クリスマスにはカード、それからプライベートで来日、また渡米したときには、自宅に招き、招かれたりとその後も交流を深めております。これはうちに限らず多くのホストファミリーの皆さんそのような交流が続いていると聞いております。
また、エイムズ市やボーヌ市への派遣事業を楽しみにされている中学生のお話もたくさん聞いております。私は、子どもたちが文化、風習、社会構造が異なる国々で絆を深めていくことは、地域社会にとって大変重要なことであり、国際的視野を広めることにより地域の未来、将来像を変革する可能性を秘めていると考えています。
今や世界は、情報通信技術や交通手段の飛躍的な発達による人、情報、経済などが国境を越えて高速で移動する時代でもあります。こうした時代の中で未来を担う子どもたちは、地球規模の視野を持ち、国際社会において力強く生き抜く力を兼ね備えてほしいと思います。
そこで、本市の世界で活躍できる人材育成についてどのように進めていくのかお伺いいたします。
教育総務課長(雨宮邦彦)
新学習指導要領の全面実施により、昨年度から全国的に小学校5、6年生に外国語科が新設され、それに伴い、3、4年生に外国語活動が導入されました。コミュニケーション能力の基礎として今までの聞くこと、話すことに加え、読むこと、書くことが学びの対象となりました。
本市では、平成21年度に文部科学省より小学校英語活動指定校事業を受けて以降、今日まで甲州市小学校外国語教育担当者会が中心となり、小学校1年生より子どもたちの外国語を介してのコミュニケーション能力の育成に努めてまいりました。その結果、昨年度より担当者会で作成した独自のカリキュラムにより外国語科、外国語活動の授業が各校において円滑に行われております。カリキュラムには、外国の方に甲州市の名所や特産品を紹介する内容も入っております。指導の面では、今年度県から専科教員2名が配置され、市単独でも1名の専科教員を配置しております。さらに8名の外国語指導助手を配置いたしました。市内の全ての小・中学校において専科教員と外国語指導助手による授業が実現しております。
ネイティブな発音に触れるなどして子どもたちは外国語や外国の文化に興味関心をさらに高め、コミュニケーション能力を培うものと考えております。
先日は1人1台のICT端末を活用し、グーグルミートでアメリカにいる外国語指導助手の家族に日本の季節の行事を伝える授業を行いました。世界で活躍できる人材育成の面でこうした取組をさらに推し進めていくことが大切だと考えております。
私が海外の方と接する際に感じることがあります。それは相手の意見を受けとめ、自分の考えを主張することにたけているということです。海外においては、小さな頃からパブリックスピーキング、人前で話すことに慣れ親しんでいるという背景もあろうかと思いますが、アメリカの話になりますが、幼稚園の頃からそういった人前で話すという概念の授業が取り入れられています。つまりスピーチそのものが重要なスキル、教育カテゴリーとして認識され、授業が成り立っているのです。臆することなく自らの考えを主張でき、世界の方々と分かり合うことのできる人材を育てていただきたい、またそういった世界で活躍した子どもたちがここ甲州市に戻ってきたいと思えるさらに魅力的な甲州市になることを願い、次の質問に移らせていただきます。
子どもたちが広い視野を持ち、世界に羽ばたいていく人材として育っていくためには、一人一人が夢や志を持ち、たくましくそしてしなやかに成長していくことが望まれます。そのための子どもの健全育成には、心身の健康増進や知的、社会的適応能力を高めること、そして情操を豊かにすることが必要不可欠になると考えます。時代の変遷とともに子どもや青少年を取り巻く諸課題は変化し、行政サービスもそれに合わせて変えていかなければならないと感じています。
こうした新たな問題への対応を考えるに当たり、本市において子どもの健全育成について現状の取組についてお伺いいたします。
生涯学習課長(辻学)
現在子どもを取り巻く社会環境は大きく変化し、社会全体で取り組まなければならない問題が深刻化してきております。本市では、青少年育成甲州市民会議が中心となり、子どもの安全な日常生活を確保し、地域での健全育成と非行防止、環境浄化に努めることを目的とし、地域における児童生徒の通学路の安全点検等を実施する愛のパトロールや有害図書・DVD等の回収を行う白ポスト管理、また心身の健全育成を強く推し進める地域づくりのための取組として、年1回さわやか講演会を開催しております。また、青少年育成カウンセラーを配置し、親子の悩みや非行、学校生活についてなど学校と連携する中で子どもたちに寄り添った相談業務を行っております。
今後も地域、家庭、学校が一体となり、子どもの健全育成事業の推進を積極的に図っていきたいと考えております。
さわやか講演会は、6月30日に開催予定と聞いております。
次に、育成会、子どもクラブとジュニアリーダーのあり方について質問させていただきます。
地域の子どもたちを地域で育成し、そして子どもたちが地域の中で自由に活動できる場として、育成会、子どもクラブがあります。子どもクラブは、学校教育、PTA活動にとらわれることなく展開してきた活動であります。地域で異なる年齢の子どもたちが集団活動を進めていき、様々な体験を通して集団の中での立場、役割を理解し、その集団のあり方や正しい見方、考え方を体得し、人間として自立できることを目的に人間形成過程に不可欠な学びを得てまいりました。学校、家庭、地域が共通理解を図り、協力しながら地域クラブの育成会、子どもクラブは非常に必要な存在であると考えています。
しかし、社会環境の変化やコロナ禍での生活様式の多様化など時代の流れとともにその関心は薄れつつあります。また、子どもクラブの自主的な活動や地域づくりを支えるリーダー的な役割であるジュニアリーダーの存在も大きな役割を担っています。
ジュニアリーダーとは、中高生がよきお兄さん、お姉さんとなり、子どもクラブでの活動をどのように進めていったらよいか、相談に乗ったり子どもと大人との架け橋となる活動をしています。
本市の育成会、子どもクラブとジュニアリーダーのあり方についてお考えをお聞かせください。
生涯学習課長(辻学)
育成会、子どもクラブは、各地域において地域住民が一丸となり、未来を担う子どもたちを守り育み、健やかな成長を促進するために子どもの健全育成を図るための活動を行っております。
また、ジュニアリーダーの育成を目的といたしまして、令和2年度には次代を担う子どもたちがたくましく思いやりのある人間として成長できるよう甲州市アドベンチャークラブ事業において研修会を開催いたしました。
今後もジュニアリーダーの育成のため、子どもたちのコミュニケーション力や協調性の育成、学年、地域、学校を超えた仲間づくりを行い、交流が深められる活動、また自分で選択し、挑戦し、自己肯定観を高め、自信につなげることができるよう社会力や生きる力の育成を目的とした活動を行っていきたいと考えております。
社会力や生きる力の育成を目的とした活動を行っていくとのことでしたが、より活性化に向けた取組のお考えはありますでしょうか。
生涯学習課長(辻学)
育成会活動は、先ほど答弁させていただきましたが、地域住民が一丸となり、子どもの健全育成を図るための活動でございます。地域と結びつき、地域の伝統行事の継承のための一翼を担っている育成会や子どもクラブも多くあります。育成会や子どもクラブの衰退は、地域の衰退にもつながりかねないゆゆしき問題であります。そういった事態を近い将来招かないためにもまず一つの手段として、子どもたちの先頭に立つリーダー的立場の子どもを育成していくことも活動を活性化させる一つの手段と考えます。
ジュニアリーダーの育成は、様々な行事や地域に根ざした活動を通して郷土愛の醸成を図り、自立心を養い、そして社会貢献意識の高い若者を育てることとしても大変貴重な機会であると考えます。また、子どもクラブの活動、活性化の鍵としてもその役割を果たすとともに、将来の地域づくりを担う人材として大きく期待ができるものであると思います。
昨今、児童数が減少してきており、子どもクラブで以前のような活動ができなかったり、スポーツ少年団や習い事など参加できないといったお声も聞いております。さらに子どもクラブではなくてもほかの団体活動で十分という意見もあります。現実として衰退の方向ではないかと心配をしております。
こうした現状に置かれている子どもクラブをどのように維持し、活性化していくかということが大きな課題だと思っています。これらの課題に対し、具体的な対策が何かございますでしょうか、お伺いいたします。
生涯学習課長(辻学)
議員のご指摘のように、現在は育成会や子どもクラブ活動が盛んな頃に比べ、スポーツ少年団や習い事、また他の団体においての活動など子どもたちを取り巻く環境が多様化しており、その優先順位も各家庭や子どもたちの間でまちまちの状況であります。それに加え、少子化による子どもの減少など社会環境の大きな変化に伴い、育成会や子どもクラブの活動の衰退が顕著な状況であります。そのような中で、いかにして活動を維持していくか、現状の各育成会の細かい部分の把握、他の市町村の状況なども参考に調査研究を行い、今後育成会、子どもクラブの活性化に対し、具体的な施策等を検討していきたいと存じます。
課題について研究され、活性化に向けて施策も検討されるとのことでした。ありがとうございます。育成会、子どもクラブ等について所管する担当課は生涯学習課ではありますが、学校との連携も必要であると考えます。育成会、子どもクラブのあり方について、教育総務課の所見をお伺いできますでしょうか。
教育総務課長(雨宮邦彦)
育成会、子どもクラブの活動は、学校教育では体験できない活動もあり、児童生徒が地域とともに健やかな成長を図るため、大変重要な役割を担っていただいております。育成会の皆様には、学校支援地域ボランティアとしてご協力をいただいており、今後も学校教育へのご協力をいただきたいと考えております。
また、育成会、子どもクラブの活動を通して改めて自分が生まれ育った地域のよさを再確認する機会になっていくと考えます。育成会、子どもクラブ活動は、本市の児童生徒の健全育成を図る活動のみならず、地域のよさを再確認する活動として今後も連携を深めていきたいと考えております。
子どもクラブの活動は、子どもたちが自ら企画し、そして協力して作り上げていくことが大前提でありますので、代替えはあり得ないと思っています。
それから、保護者の考えや家庭の事情、子どもの考えもあります。また、昨日川口議員のご質問にありました不登校について、学校には行けないけれども、子どもクラブの行事には行ける、そういったお子さんもいらっしゃるかもしれません。私はやはり育成会、子どもクラブは存続させていくべきだと思っています。
また、子どもクラブの意義や目的などが薄れてきているようにも感じています。ここでいま一度意義や目的といったものを広く市民の皆様に啓発していくべきとも思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは次に、子ども食堂について質問させていただきます。
日本の子ども17歳以下の貧困率は、先進国の中でも総体的に高いと言われています。最新のOECD(経済協力開発機構)のデータによると、日本の子どもの貧困率は約15%で、およそ6人に1人の子どもが貧困状態にあります。これはOECD平均を上回っています。このような中、全国的に子ども食堂は広がっています。
子ども食堂とは、経済的、家庭的様々な事情から食事を満足にとることができない子どもたちに無償、あるいは安価な費用で食事を提供し、居場所を作る取組みで、多くがNPO団体やボランティアの方々に支えられています。本市においても子ども食堂を始めたいという声が届いております。子ども食堂は、食事の提供をきっかけに地域の大人や異年齢の子どもとの交流等により社会性を身につける地域でのコミュニティが形成されるといった子どもやその親の居場所、地域とつながる場所としても有効になるのではないかと考えます。
この子ども食堂について本市ではどのように考えているのかお伺いいたします。
福祉課長(武澤勝彦)
子ども食堂は、運営形態が定まっていないため、場所や料金、メニュー、開かれる頻度など様々であります。そのような中、多くの課題もあるのが現実であります。
大きな問題として、貧困や孤食を防ぐために行ったが、本当に来てもらいたい子どもが来ない、安く提供するため安易に利用する方々がいる、明確なルールがないため、保護者と運営側とのトラブルが頻発、継続的に開催していくための運営費及び安定したスタッフの確保が難しい、管理体制としての会場の確保に加え、定期的な洗浄設備、衛生環境などの営業許可の取得問題などこのように多くの問題が山積します。
その上で特に地方において一番の問題として、貧困の子どもたちが集まることにより周囲からの誹謗中傷や非難を受けることが一番問題視しているところであり、これらの課題に対し解決していくことは非常に困難ではないかと考えております。
子ども食堂についての考え、また大変調査研究されていることがよく分かりましたが、この子ども食堂を始めたいといった方がいらした場合、支援についてはどのように考えているのかお伺いいたします。
福祉課長(武澤勝彦)
開催していただける方や団体があったとしましても、先ほど申し上げましたように対応しなければならない問題は多くあります。市としましては、現在生活支援センターぶりっじや福祉あんしん相談センター、また福祉課の生活保護担当などで生活困窮者の相談業務を行う中、食料に困窮している方々には食料支援を実施しているところでございます。この食料支援は、米や保存のきく各種食料を家族の実態にあった量や期間で提供しており、1か月から3か月を基本に実施しております。その間、就労支援や家計指導など自立に向けた各種方策を講じているところであります。ただし、どうしても生活困窮から脱却できない場合は、生活保護の申請も視野に入れ、行っているところでございます。
このようなことから市としましては、子ども食堂の支援より生活困窮者そのものの解決に向けた支援体制の構築を図ってまいりたいと考えております。
地方においては、周囲からの誹謗中傷といったようなことなど地域性もあり、子ども食堂を運営していくには様々な課題があることがよく分かりました。そういった現状の中でも本市では甲州市生活支援センターぶりっじなどと連携し、家族の実態に合わせた支援をされているとのことがお聞きすることができました。それは安心いたしました。
子どもの健全育成には行政、学校、地域が連携し、当市の子どもに対する課題に取り組んでいくことがこの子どもの貧困問題、健全育成、環境の向上につながると私は思います。
今までの固定観念では子ども・子育ては家庭でするもの、学校に任せるものという印象がありました。しかし、これからは地域や企業、NPO、多様な関係機関が一体となって子どもたちを育てていかなければならないと思っています。全ての子どもたちが自身の努力の及ばない不利な環境により、将来の道が閉ざされることなく、夢と希望を持って安心して育つことができるよう本市においてもなお一層の寄り添った支援を期待しています。
今や国際社会においてダイバーシティ(多様性)は当然の権利として確立されています。海外では既に当たり前になっていますが、日本においてはまだまだ実態として社会に浸透しているとはいえません。本質的な多様さを受入れ、学び、意見を融合させる、そして自分とは異なる他者を受入れ、より別種の手法を取り入れていくことができる多様性社会の推進がより求められています。
さて、ここ数年で性的少数者を表すLGBTという言葉が日本国内でも認知度が上がってきています。最近は性自認や性的志向が定まっていない人のことであるクエスチョニングやクイアの頭文字QをつけてLGBTQとも言われていますが、今回は広く浸透していますLGBTとさせていただきます。
LGBTとは、レズビアン、ゲイセクシャルの同性愛者、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別違和)の頭文字を合わせた言葉で、広い意味でマジョリティ、多数派以外の全てのセクシャルマイノリティー、性的少数者を包括して表すものであります。特にトランスジェンダーの概念は深く、心の性別と体が一致しない方、心の性別がなく無性、中性として生きている方などいらっしゃいます。
2019年の総合研究所が実施したマーケット調査によると、LGBTに該当する人は10%というデータがあります。最近ではアメリカのアップル社のCEOなど著名人も自らがLGBTであることを公表しています。
一方で、LGBTに対する差別やいじめがあることも現状で、大切な社会的な課題として認識する方も増えています。しかし、国際社会に比べ、日本国内では法的整備や支援制度が充実しているとはいえません。
本市においては、第2次甲州フルーティー夢プランの総合目標に甲州市に暮らし、または活動する誰もがあらゆる場面でその人らしく生きることができると掲げていますが、LGBTへの理解促進と支援についてのお考えをお伺いいたします。
市民生活課長(網野光邦)
ダイバーシティとは、多様性を意味する言葉として使われ、年齢、性別、人種、宗教や趣味など様々な違いを問わず、誰でも平等に生きられる権利を得られることでもあります。また、本人の意思に反して第三者により本人に無断で公開されるアウティングの被害も発生していること等報道されていることもあり、ダイバーシティ社会の推進には労働環境の整備や相談窓口の設置、また自分とは違う価値観や立場の違う人の存在を知る意識改革が重要となってくると考えます。
LGBT等の理解促進について啓発活動等を行い、生活の中で性的少数者に関する理解が広がり、お互いを認め合うことや多様性が尊重され、誰もが生き生きと自分らしい生き方ができるよう支援してまいります。
啓発活動等を行い支援していかれるとのことですが、具体的にはどのようにされていくのかお伺いいたします。
市民生活課長(網野光邦)
今年度第3次甲州フルーティー夢プランの策定に向け、第2次計画を現在検証中であります。第3次プランには、心と身体の性の多様性に関する周知を図るための計画や多様性に対する理解の醸成を図れるよう検討してまいります。
第3次甲州フルーティー夢プランにも反映されていくとのご答弁でありました。ぜひ性の多様性への理解を深める取組をされていっていただきたいと思いますが、世代間による考え方の違いや教育、企業などにおける取組など多岐にわたることが想像されます。様々な分野や場面で啓発をしていく必要があると思いますが、よろしくお願いいたします。
さて、異性のカップルの場合であれば、婚姻届を出していないために法律上の夫婦とは認められない事実婚も婚姻に準ずる関係と認められており、社会制度上では夫婦と同様に取り扱われる場合もある一方で、同性カップルには全く認められてない状態であります。住居の賃貸契約や病院での面会において戸籍上の家族ではないことを理由に断られるなど不便を余儀なくされています。
同性カップルの関係を公的に認めるパートナーシップ制度は、大阪市、札幌市など人口100万人以上の大きな都市や茨城県、大阪府、群馬県のように都道府県単位で導入しているところもあります。一方で、市町村で5万人を超えない自治体でも導入しているところもあります。
本市においては、パートナーシップ制度の導入についてどのようにお考えになっていますでしょうか、お伺いいたします。
市民生活課長(網野光邦)
現在の日本においては、同性による婚姻は法律により認められていませんが、他県や県外の市町村においてパートナーシップ制度を導入する自治体もあります。この制度は2015年に東京都の渋谷区、世田谷区で開始され、ここ数年で拡大しています。この制度の導入につきましては、自治体にパートナーシップ制度を求める会によりますと、2021年4月1日現在、全国100の自治体で導入している状況であります。
県内の自治体につきましては、現在導入しているところはないと認識しておりますが、このパートナーシップ制度の導入につきましては、県内の自治体の状況を把握しつつ、今後調査研究してまいります。
導入されている自治体によっては、制度開始以来交付実績がない市町村も少なからずあるようですが、交付実績がないから必要ではないというのは短絡的であると考えます。選択肢があった上であえてそれを選択しないのとそもそも選択肢がなくてそれを選べないのでは大きな違いがあります。パートナーシップ制度が今後本市に導入されたならば、それは今までになかった選択肢が生まれるということであり、可能性を広げることになります。
私の友人でもLGBTの方が何人かいらっしゃいます。その中のある男性は、家族にその理解が得られぬまま上京し、今はパートナーの方と暮らしています。時を経て彼のご両親がお住まいの市においてパートナーシップ制度が導入され、それを知ったご両親は理解を示したと聞いております。つまり行政が制度として後押しすることで周りの理解がより深まり、当事者も堂々と生きることができるようになるということです。
社会にはまだLGBTに対する厳しい偏見、差別があるため、自分を偽り知られたくないように暮らしています。パートナーシップ制度により行政が認めることは、セクシャルマイノリティーにとって大変意味のあることになります。
ここで今回なぜ私がこの質問を取り上げたのか、そのきっかけとなりました本市に住むある高校生からいただいたお手紙を少し紹介させていただきたいと思います。本人の了承は得ております。
私は、甲州市に住む高校生です。
甲州市で生まれ、両親をはじめ多くの方々、そしてこのまちに育てられたことに対し、日々感謝をしています。
ただ一つだけ大きな不安があり、このお手紙を書かせていただきました。
私たち若者は、この社会の中で日々少しずつ大人になっていく喜びを感じています。自分はどのような仕事につくのか、自分は社会のために何ができるのか、自分はどんな人と結ばれるのか、自分の将来が楽しみで仕方ありません。ですが、性的マイノリティーの方々の人権が何一つ守られていない今の社会で自分がありのまま生きていけるかを考えると、時々無性に怖く、苦しくなります。
私の友人には同性愛者の男性がいます。彼が結ばれたいと思う相手と未来を考える当たり前は許されないのでしょうか。私たちがこれから誰を愛することになっても社会に支える姿勢を示してほしいと思うのはわがままなのでしょうか。
パートナーシップ制度の導入は、私たち若者が生きていく上での大きな心の支えとなります。どうかこの一高校生の思いが届き、パートナーシップ制度が導入されることを心から願っています。
鈴木市長、これは東京での話ではなくて、本市に住む高校生からのお声です。ぜひ真摯に受けとめていただき、本市でのパートナーシップ制度の導入を強く要望させていただき、私からの質問を終わらせていただきます。
(以上)