デジタルトランスフォーメーションがDXと表記されるのは、デジタルの頭文字のDとトランスフォーメーションのトランスを英語圏ではXと略すことから、そのように呼ばれています。
DXの定義については、経済産業省のガイドラインでは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルの変革をするとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することとしています。
これを行政分野に落とし込むと、データとデジタル業務、プロセスを変化することになると考えます。そして、ただのデータ活用やICT導入にとどまらず、その先の行政サービスの向上、組織や業務の変革、そして市民の皆様が暮らしやすくなるといったところまで実現していかなければなりません。本市においてDXをどのように捉えているのか、お考えをお聞きします。
総務課長(芦沢尊彦)
DX、デジタルトランスフォーメーションの経済産業省による定義については、矢崎議員が述べられたとおりでありますが、行政においては、デジタル技術やデータを活用して住民の利便性を向上させるとともに、業務の効率化を図り、行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められます。
国の示す自治体DX推進計画の重点取組事項として、自治体の情報システムの標準化・共通化、マイナンバーカードの普及促進、行政手続のオンライン化、テレワークの推進などを掲げており、デジタル社会構築に向けた各施策を効率的に実行していくためには、自治体全体として足並みをそろえて取り組んでいく必要があります。
そこで、本市においても、国の重点取組事項を基本に取り組んでいるところでありますが、今後も、住民視点によるサービス、利便性の向上を目指し、庁内の連携を取りながら、協議を重ね取組の強化を図ってまいります。
昨年7月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2020では、次世代型行政サービスの強力な推進、デジタル・ガバメントの断行という項目が上げられ、行政手続のオンライン化やワンストップ・ワンスオンリー化を抜本的に進めて、行政分野でのDXを優先政策課題としていくことが示されています。
また、総務省では、自治体による情報システムの標準化を支援する手引書が発行されるなど、政府は、2025年度までに全自治体が移行を完了することを目指しています。デジタル庁が創設され、今後も、行政分野でのDX推進はさらにスピードを上げて行われていくと考えます。
本市では、今後DXを推進していくに当たり、具体的にどのような業務に活用し取り組んでいくのかお聞きいたします。
総務課長(芦沢尊彦)
現在、マイナンバーカードの普及促進、やまなしくらしねっとからマイナンバーカードを用いての電子申請サービスの提供や、本市の基幹系システムの更新を2年後に控えていることから情報システムの標準化、共通化を視野に入れた構築を行うことなど取り組んでいるところであります。
一方、人材の確保につきましては、研修等による担当職員の能力の向上を図っておりますが、専門職ではないことから、本市のシステム運用等が適正に行われるよう専門業者との業務委託により指導、助言の支援を受ける体制を確保しています。
今後は、先進的にDXの取組を行っている自治体を参考に、専門知識を有する人材はもとより本業務をマネジメントできる人材の確保や育成、また全庁的な体制づくりなどを調査、研究を行ってまいります。
今後、DXを推進していくには、ある程度トップダウン的な進め方も必要になると思います。先進自治体では、市長直轄に担当部署を置いている例があります。また、各課から職員を抜擢して全庁横断的なチーム体制を取っているところもあります。いずれにしても、トップがDXに取り組む強い意志を持ち、体制に反映させることが必要になると考えます。
また、改革推進を牽引する人材には、最新の技術だけではなく、組織や業務の改革を推進するマネジメント能力も求められます。庁内に適任者がいらっしゃれば理想的なんですけれども、そのような人材はなかなか正社員にするのは困難だと思います。かといって、ICTベンチャーに任せっきりにするのでは、本当の意味での本市のDX実現はやはり難しいと考えます。
ぜひ全庁的な推進体制、人材確保、そして担当職員の育成に努めていっていただきたいと強く要望いたします。
次に、マイナンバーカードについてお伺いいたします。 2016年にマイナンバー制度がスタートし、5年が経過いたしました。マイナンバー制度とは、住民票を持つすべての国民に1人1つの12桁のマイナンバー、個人番号が与えられる制度です。マイナンバーに使われるのは、主に社会保障、税金、災害対策の3つの関連する場合です。マイナンバーカードは、マイナンバーの通知後、個人の申請により交付される顔写真入りのプラスチック製のカードで、正しいマイナンバーの証明と本人であることの証明をこれ1枚で行うことができます。
マイナンバーカードは、ICチップ内に電子的に個人を認証する機能、電子証明書を登載しており、電子証明書の利用にはマイナンバーは利用しないため、民間事業所も含め、様々な用途に展開できる可能性があります。
昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大を機に、全国の自治体でデジタル化が進んでおり、その重要なツールの一つでもあるマイナンバーカードの活用が挙げられますが、本市におけるマイナンバーカードを活用した行政手続の導入状況、また今後、市としてはどのようなサービスを展開していくのかお伺いいたします。
戸籍住民課長(中山明人)
マイナンバーカードの市の人口に対する交付枚数率は、本年2月1日現在24.1%と、全国平均25.2%より1.1ポイント低く、県平均22.9%より1.2ポイント高い状況です。
現在の活用の現状ですが、顔写真つきの本人確認書類、市役所及びコンビニエンスストアに設置してあります自動交付機にて住民票、印鑑証明の取得、e-Taxによる確定申告、キャッシュレス決済におけるマイナポイント5,000円分の取得等です。
今後の展望についてですが、今月からはマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになります。令和5年度中には行政手続による戸籍謄抄本の添付が省略できる予定でございます。
国では、本年9月にデジタル庁を立ち上げることとし、マイナンバーカードを令和4年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指し、普及策を模索しています。市といたしましては、毎週水曜日の19時までの時間外及び毎月第4土曜日の午後といずれも予約による窓口延長を行っております。
今後もコロナ禍ではありますが、市内事業所に出張し、申請を受け付け、マイナンバーカードの普及に努めてまいりたいと考えております。
課長のご答弁に、自動交付機にて住民票、印鑑証明の取得ができるとありましたが、その事務処理件数はどれくらいあるのでしょうか。
戸籍住民課長(中山明人)
市役所及びコンビニエンスストアに設置してあります自動交付機での住民票、印鑑証明書交付件数は、令和2年4月1日から12月末日までで合計4,154件であります。
引き続き、普及促進にも努められるとのことでした。使う方の利便性やメリットについて、市民の皆様により伝わるPRをしっかりしていっていただきたいと思います。
マイナンバーは、今後活用されていく範囲がさらに拡大していくと思います。対応するには、庁内で横断的に連携していくことが必要になります。より充実したサービス提供、効果的な周知方法に全庁で取り組んでいっていただきたいと思います。
それでは、続きまして、コロナ禍における職員のテレワークの取組について伺います。
昨年4月に緊急事態宣言が発出された後、政府は人との接触を8割減らすという目標を発表しました。大企業でテレワークを進めることができる業種を中心に進んできた働き方改革は、今後あらゆる業種、そして企業の規模、大小を問わず、広がりを見せていくことになり、社会全体の価値観や消費行動の変化などとともに、ワーケーション、サテライトオフィスなどでの働き方や、休暇の取り方が一層進んでいくことが予想されます。
行政においては、個人情報を扱うことが多い業務については、なかなかテレワークを進めることが難しいとは思いますが、可能な範囲内で導入することで感染拡大防止や業務の効率改善、また長期的な視点での働き方の改善なども実現できるのではないかと考えます。
そこで、本市において、テレワークの取組の現状についてお伺いいたします。
総務課長(芦沢尊彦)
ICT情報通信技術を活用することで時間や場所に制約を受けることなく働くことができるテレワークは、新型コロナウイルス感染症対策や働き方改革として、民間企業をはじめ、行政機関においても急速に導入をされてきております。
本市におきましても、出勤することなく自宅で業務を行うことができるテレワークは、感染症対策や多様な働き方を実現するために有効な手段の一つでもありますので、補正予算にシステム構築費用を計上し、本定例会に提出をしたところであります。今後、テレワーク導入に取り組んでまいります。
本定例会の補正予算にシステム構築費用を計上されたとのことです。このコロナ禍において、不可測な事態に備え、ICTの技術を活用し、新たな課題への対策が検討されていかなければなりません。特に、感染予防に向けた人事面における措置として、時差出勤、テレワークや在宅勤務、テレビ電話会議システムの利用などが有効であるとして、その必要性を訴える声がさらに大きくなっています。
テレワークや在宅勤務は、市役所の業務の特性なので、促進が難しい局面もあろうかと思います。私、昨年3月の定例会にて質問させていただきましたが、本市では、昨年より朝方勤務を実施しておりました。最近は時差出勤を取り入れられているとのことですが、どのようなものかお伺いをいたします。
総務課長(芦沢尊彦)
コロナ禍において職場の感染リスクを低減させる対策と働き方改革に貢献できるという観点により、昨年4月から時差出勤及び要勤務日の振り替えを実施してきたところであります。
時差出勤は朝7時から21時15分までの間に7時間45分の勤務を行うもので、要勤務日の振り替えは勤務を要しない土曜日、日曜日に出勤し、平日に代休を取得するものであります。いずれも、職場内の密集の機会を減らし、感染防止を図るため実施してまいりました。
職務の内容により利用が難しいという部署もありますが、この時差出勤等を可能にしたことにより、超過勤務に波及する抑制効果、子どもの送迎や男性職員の子育て参加の機会が広がるなど、多くの職員から好評を得ているところであり、現在も継続をしております。コロナ禍における取組が、働き方改革にも効果を生んだ結果にもつながっております。
今後も継続して、市民の皆様への影響も配慮する中で業務に支障なく推進できるよう取り組んでまいります。
できることからの積極的な取組、すばらしいと思います。また、時差出勤を可能にしたことで、男性職員の子育てへの参加の機会が広がったこと、こちら男女共同参画社会の推進という視点からも大変意義のある一歩と考えます。また、今後テレワーク環境の整備が完了すれば、将来の礎を築く大きな一歩につながることは間違いありませんので、研究していただき、課題を整理しながら着実に早急に進めていっていただきたいと思います。
次に、オンラインによる婚活事業の推進について伺います。本市においては、独身男女の出会いの場を提供し、結婚、そして出産へとつなげ、人口減少対策、少子化対策の一助となるよう婚活事業を実施しています。短期的に解決できるものではないことから、将来世代にも大きな影響を及ぼすものであります。結婚というのは、言うまでもなく一人一人の人生の選択によるものであります。
しかしながら、結婚したい人が結婚の希望をかなえられる社会をつくっていくことが大切であると思います。本市においても、出会いの場づくりに力を注いでおりますが、甲州市結婚相談所、これはどのようなものかお伺いいたします。また、今年度の実績についてもお聞きいたします。
市民生活課長(金井明則)
甲州市結婚相談所は、地域の推薦により市から委嘱している18名の結婚相談員で構成され、結婚を希望される方に出会いのサポートとして、結婚やお見合い及び婚活イベント等、出会いの場を提供しております。
主な活動として、毎月第3日曜日に定例相談所を開設し、結婚に関する相談やお見合いの仲介を行っております。また、よりよい結婚支援が行えるよう、月に一度、結婚相談員同士の情報交換会を行っております。
今年度の実績につきましては、現時点でのお見合い申込数95件、お見合い実施回数32回、連絡先の交換に至ったケースは13件であり、その後の付き合いが継続していることや、当相談所が開設するイベントをきっかけにご成婚に至ったことなど、うれしい報告も受けているところでございます。
結婚相談員さん、地域の推薦を受けて委嘱されているということと、もともと活動に熱心な方々にご尽力いただいているということで大変評判がいいとお聞きしております。相談員同士での情報交換会も行い、活発な事業を行っているご様子は分かりました。
さて、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、対面での様々な事業が中止せざる状況になっております。オンラインによる婚活事業は、移動時間や費用も削減できる、リラックスして話せるといったように手軽に実施できるのではないかと考えますが、本市において推進していくお考えはありますでしょうか。
市民生活課長(金井明則)
例年では結婚相談員主催によるイベントを年間6回以上開催しておりますが、今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により対面でのイベント開催ができない状況でありました。
コロナ禍においてリモートワーク、リモート会議が浸透する中で、オンラインによる婚活イベントの開催について相談員と検討を重ねてまいりました。その結果、11月21日に甲州市消防団員とのオンライン婚活イベントを開催することができ、男女8名ずつの参加をいただき、3組のカップルが誕生いたしました。また、3月13日、14日の2日間、山梨市の結婚相談所との共同でオンラインによる年齢別婚活を予定しております。
今後につきましても、参加者の可能性を広げるため、近隣自治体と連携を図り、オンラインイベント等の開催を進めていきたいと考えております。
ここ甲州市は、たくさんの資源に恵まれた土地であり、首都圏にも近い地理的環境も特徴です。非常に多様性のある地域だと考えます。
今後、今まで以上のライフスタイルが、それこそ人の数ほど出てくることは間違いないと思います。今後は、オンラインであれば登録者を市内だけでなく、市外、県外へと広げることで、将来移住へとつながる可能性もあるのではないでしょうか。オンライン化によりスムーズな事業ができると活動期間が短くなるといった成果が、登録会員に提供できれば満足度も上がりますし、5Gという今より圧倒的に高性能な通信技術が整備され、婚活事業のオンライン化は前進していくのではないかと思います。
DXという視点からも、積極的に取り組む事業と考えますので、引き続き参加者の可能性を広げ、推進を図っていっていただきたいと強く要望いたします。
新型コロナワクチンの正しい知識と周知について質問させていただきます。ファイザー社の新型コロナワクチンが承認され、日本国内でも医療従事者への先行接種が始まり、それから高齢者や基礎疾患のある方、一般の方の接種へと対象を広げていく予定です。
かつてない規模のワクチン接種であり、接種の主体となる自治体の担当者にとっては、未曽有の事業に不安もあるかと想像します。一方、市民にとっては、副反応などに不安を抱えながらも、コロナ終息の希望となるワクチン接種に大きな期待もかけています。混乱を極力抑えて市民の皆様の期待に応えるためにも、可能な限りの準備を速やかに進めていく必要があります。
ワクチン接種を推進していくためには、市民の皆様の理解と協力を得ることが不可欠です。副反応の不安を取り除くためにも、ワクチンの安全性や有効性について具体的な情報や裏づけをもって分かりやすく、そして丁寧な周知と啓発が必要ではないかと考えます。
そこで、これらの正しい知識についてどのように周知されていくのかお伺いいたします。
健康増進課長(内田眞由美)
新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、65歳以上の高齢者からの優先接種を4月下旬からスタートいたします。それに向けて、3月下旬に接種券、予診票を送付する際に、新型コロナウイルスワクチン接種についての説明書を同封いたします。内容といたしますと、高齢者が接種をするファイザー社製のワクチンについて、その特徴、効果、接種回数、間隔等の投与方法、接種を受けることができない場合、接種を受けるに当たり注意を必要とする場合などが記載されており、接種の予約をする際にはその説明書をご確認いただき、ご理解いただいた上で予約をしていただきたいと考えております。
また、接種する前の予診の際に、予防接種の有効性、安全性、接種後の通常起こり得る副反応や、まれに生じる重い副反応等について説明をし、理解していただけるよう適切に説明を行い、同意を得た上で、その場合に接種を行ってまいります。
このほかには、広報等でワクチン接種について正しい知識の啓発を行ってまいりたいと考えております。
また今後、新たなワクチンが承認された場合、その特徴も異なるため、ファイザー社製のワクチンとの区別化を図っていくことも想定されるので、市民の皆様が困惑することがないように取り組んでまいりたいと考えております。
万全な準備を進めているご様子が分かりました。課長がおっしゃられたように、今後、ファイザー社製以外のワクチンが認証された場合は、取扱いが変わることが想定されると、その際は周知徹底をよろしくお願いします。
ワクチンと感染拡大防止の関係についてですが、厚生労働省の会議資料を見ますと、新型コロナウイルスワクチン接種により発症予防や重症化予防の効果が期待される一方、発症しない感染者が多数存在する新型コロナでは、感染予防効果の実証はほぼ不可能と書かれています。
さらに、新型コロナウイルス感染症手引の最新版を読みますと、新型コロナウイルスは潜伏期間が1日から14日と長く、発症する前から感染性があることが市中感染の原因の一つとされています。つまり、たとえワクチンを接種したとしても、別の誰かに感染を広げるリスクはなくならないということだと考えますが、見解をお伺いいたします。
健康増進課長(内田眞由美)
国では、新型コロナウイルスワクチンについて、コロナに感染した場合に重症化を予防するために接種を行うものであり、感染予防効果の実証は難しいと言われております。さらに、国の治験によると、発症予防効果や免疫の持続期間等についても、まだ評価されておらず、不明な部分は多いですが、多くの市民の方々が接種を受けることにより、生命と健康を損なうリスクを軽減し、医療体制への負荷の軽減が図られ、社会経済の安定につながることが期待されるものであります。
しかし、ワクチン接種を行っても、家庭内や職場等において、これまでと同様の感染症予防の基本対策、人との間隔はできるだけ確保、マスクの着用、手洗いの励行、小まめな換気等を継続して行っていくことは重要になります。また、感染症に負けない身体づくりとして、日頃から体を動かす習慣やバランスのよい食事習慣、朝の太陽の光を浴び、夜は決まった時間に就寝という体内時計に従って生活を行っていくということが、免疫機能を向上させ、感染症に負けない身体づくりにつながります。
このようなことも含め、市民へ周知を図ってまいりたいと考えております。
より多くの皆様に接種をいただくことで生命と健康を損なうリスクは軽減されると、ただこれまで同様、感染症の予防対策は引き続き行っていかなければならないこと、よく分かりました。
また、ワクチンの接種だけに頼らず、課長がおっしゃっていたように、運動や食事、それから生活環境の改善などによって自然免疫を高めることも大事だと、改めて思いました。ぜひ、こちらについても周知を積極的にしていっていただきたいと思います。
それでは次に、ワクチンの接種の判断に向けた情報提供について質問させていただきます。
新型コロナワクチンを接種するかどうか、判断する際には発症リスクや重症化リスクについて、年齢によってどの程度違いがあるのか、また基礎疾患の有無によっても、どの程度違いがあるのかなどの情報を提供することがとても重要になると考えます。
昨年12月25日の厚生労働省の会議資料にも、年齢や医学的な背景などを踏まえたリスクを勘案し、総合的に接種の判断することが必要と書かれています。
新型コロナウイルスは、高齢者や基礎疾患を持つ人のリスクは大きい半面、若い方のリスクは小さいと言われています。ワクチンの接種によって発症予防はできても、感染予防の効果の実証は難しいということであれば、ご自身の年齢や基礎疾患などによるリスクとワクチンの副反応によるリスクとを比較することによって、ワクチン接種の判断を行うことこそが必要と考えます。
市民の皆様にいかに丁寧に情報を伝え、接種の是非を選択していただくかが求められます。どのような点に留意して正確な情報を提供されていくのでしょうか、お伺いいたします。
健康増進課長(内田眞由美)
ワクチン接種に関する情報は、まず先ほどご説明をいたしました接種券、予診票等と一緒に同封されております説明書をご確認の上、ご理解いただき、接種の判断をしていただきたいと考えております。
また、ほかには毎月の広報への掲載や、4月からはCATV放映等を考えております。また、3月中旬に市役所本庁の健康増進課内に設置いたしますコールセンターにおいても、接種に対する相談対応を行ってまいるところであります。
接種の判断を行うに際して、心臓血管系疾患、腎疾患等の基礎疾患がある方や、過去に予防接種を打った後、2日以内に発熱等の症状や全身性の発疹等のアレルギーを疑う症状を呈した方など注意を要する方については、接種を行うことができるか否か疑義がある場合は
、慎重な判断を行うため、個別の対応で相談を受けてまいりたいと考えております。また、状況に応じて、山梨県が設置しております新型コロナワクチン専門相談ダイヤル等にも連係を図りながら、情報提供をしてまいりたいと考えております。
いずれにしましても、初めてのワクチン接種であり、接種を受ける方にしますと不安は非常に大きいと認識しております。正しく情報提供をして安全に接種をしていただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。
健康増進課内にコールセンターを設置しご相談対応されるとのこと、また特に基礎疾患などがある方は個別の対応もくださるとのことで、皆様の不安に寄り添った対応をされるということで大変安心いたしました。よろしくお願いいたします。
次に、ワクチン接種証明書について質問させていただきます。
デンマークやスウェーデンなど一部の国では、ワクチンを接種した証明としてワクチンパスポートの発行を計画しています。しかしながら、必ずしもワクチン接種が感染予防に結びつかないのであれば、もし仮にワクチンパスポートのような接種証明を発行するとなると、それを所持する人が自由に行動できる免罪符と勘違いし、かえって感染拡大を招くかもしれません。また、接種証明書を持たない人が差別を受けるといったおそれも考えられます。
国では、ワクチン接種の記録とマイナンバーをひもづけする動きなどもありますが、河野太郎大臣は、海外渡航時に訪問先での接種証明が必要になる可能性を指摘しつつも、国内で国や行政が接種証明書を求めることは今のところ想定しづらいと述べています。
行政が接種証明を求めることがなかったとしても、民間にそのような動きが出ないとも限りません。ワクチン接種の有無によって、行動が制限されることがあってはならないと考えます。
本市において、このワクチン接種証明書の取扱いについてどのように対応されるのかお伺いいたします。
健康増進課長(内田眞由美)
ワクチン接種証明書は、海外渡航時のワクチンパスポートとしての活用を想定し、人の往来の促進につなげていくことを狙いにするものと聞いております。
しかし、その一方で、接種証明書がない人は施設やイベント会場への入場を認めないなど、使い方によっては差別を助長する懸念もあるため、公的な活用には否定的な意見が多いとされており、今後、国から何らかの統一的見解が示されると思います。
本市においては、接種しない人が差別されることがないようワクチン接種証明書の提示を求めることは、現時点においては考えておりませんが、先ほど申しましたとおり、国から何らかの見解が示された場合においては、それに従ってまいりたいと考えております。
本市においては、ワクチン接種証明書の提示を求めることは、現時点では考えていないとのことでしたが、今後、民間の動きには引き続きご留意いただけたらと思います。
以上、新型コロナウイルスワクチン接種について質問させていただきましたが、このワクチンの接種については、基礎疾患やそのほか何らかの事情により接種が難しい方もいらっしゃると思います。
2月に厚生労働省のホームページに、医療従事者の接種についてのお知らせが掲載されました。その接種を求める際の同意の項目には、「新型コロナワクチン接種は強制ではありません。職場で全員に必ず接種するように求めたり、周囲の方に接種を強制しないようお願いします」と書かれています。また、大阪府吹田市では、市のホームページの新型コロナウイルスワクチン接種についてのページで、接種を受ける際の同意の取得についてという注意書きの欄の冒頭に、「接種は強制ではありません」と太字で下線つきの文字で目立つように書かれています。県内でも、韮崎市のホームページにも同様に書かれており、あくまでも同意を得た場合のみ接種を行うことと記載しています。
いずれにしても、この新型コロナウイルスワクチン接種は未曽有の事業で、担当者には大変なご苦労だと思いますが、市民の皆様が安心して接種できるよう、体制づくりに取り組んでいっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
3月8日は、国連が定める国際記念日、国際女性デー、女性の平等な権利について考える日とされています。1999年6月に男女共同参画基本法が制定され20年余りが経過いたしました。男女共同参画に対する理解は深まりつつはありますが、いまだに固定的役割分担の意識が根強く残っており、特に家庭の中より社会の中で男女の平等感を実感できるまでには至っておりません。
人口減少が進む中、社会の活力を維持していくためにも、女性活躍を推進することは必須です。全ての年代の男女が多様なライフスタイルを実現でき、健康かつ生きがいを持って活躍できる社会をつくるために、男女共同参画の推進が求められます。
本市において、今後、具体的にどのように男女共同参画社会を目指し推進していくのかお伺いいたします。
市民生活課長(金井明則)
市では現在、第2次甲州フルーティー夢プランを基に、男女共同参画社会の実現に向けて取組を推進しております。来年度は計画の最終年度を迎えるため、新たに第3次プランを策定いたします。
つきましては、令和2年12月に内閣府で示された最上位計画である第5次男女共同参画基本計画の内容に基づき、来年度実施するアンケート結果及び第2次プランの検証結果を踏まえ、効力ある手法を盛り込みながら計画策定を進めることで、男女共同参画社会実現へのさらなる推進につなげてまいりたいと考えております。
これまでのプランで掲げた目標値さえクリアできれば、女性活躍なのか、課題は何なのか、何に取り組んだのかを示した上での数字の公表であるべきと考えます。
第3次プランには、先ほど課長おっしゃったように、ぜひ効力のある手法で策定を進めていっていただきたいと思います。大変期待をしております。また、男女ともに暮らしやすい社会を実現するために、長時間労働や転職が当たり前とされる男性中心型の働き方改革も必要です。
2019年度の厚生労働省の雇用均等基本調査によると、女性の育児休暇取得率83%に対し、男性の取得率は7.48%にとどまっています。また、取得期間については、女性は9割近くが6か月以上となっている一方で、男性は5日未満が56%、育児休暇を取得する8割以上が1か月未満となっています。
甲州市役所においては、男性職員で6か月以上の育児休暇を取得した方はいらっしゃらないと聞いております。育児を積極的にされる男性も増えてはいますが、定時退社や育児休暇などでは、男性はまだまだやりづらさは変わっていないのではないでしょうか。やはり働き方改革を進めるには、まず職場の意識改革が何より必要だと思います。
先ほどテレワークの質問のところで、総務課長より時差出勤により働き方改革にも効果を生んだとのご答弁がありました。少しずつではありますが、庁内での意識改革が始まっているのではないかと思います。引き続き、積極的な推進をしていっていただきたいと思います。
続きまして、男女共同参画の視点からの防災対策についてお聞きします。
国の第5次男女共同参画基本計画の中で、強調している視点の中に防災、復興、環境問題における男女共同参画の推進というものがあります。災害時、避難所での生活が必要になった場合、着替えの場所、トイレ、授乳スペース、安心して休息できる場所など、女性への配慮も必要です。しかし、過去に起きた大きな災害の経験をお聞きすると、実際に災害が起きてからでは十分な対応ができないことが多かったと聞きました。
今後、本市において具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
市民生活課長(金井明則)
男女共同参画の視点からの防災対策につきましては、男性と女性が災害から受ける影響の違いに十分な配慮をすることが最も重要であると考えております。
市では、甲州市地域防災計画に明記されている防災に関する女性参画のさらなる推進を図るため、12月17日に防災・行政担当をはじめ、男女共同参画担当男女共同参画推進委員にて男女共同参画の視点による災害対応をテーマにしたオンライン研修に参加し、平常時の備え、初動段階、避難生活、復旧・復興、それぞれどの段階においても、女性が主体的な担い手であることの意義と対策について認識を共有したところでございます。
今後につきましても、防災・行政担当及び男女共同参画推進委員会と連携し、防災・減災に係る意思決定の場において、女性参画が進むよう取り組んでいきたいと考えております。
例えばですが、防災会議における女性の登用率を高めていくことや、男女の違いを踏まえた備蓄の実施、また女性や子育て家庭など多様なニーズに配慮した避難所運営などが挙げられると思います。
また、より具体的な防災活動や計画における男女共同参画の視点の導入が必要とされています。発災時の日常とかけ離れた生活の中で、子育てやプライバシーに関することなど女性だからこそ気づくことや、女性だからこそできる災害への備えがあると思います。それには、防災会議などにおける女性の比率を高め、計画の段階で女性視点を盛り込んだ計画書にしていかなければなりません。
以上、お伺いしてまいりましたが、様々な改革や施策については、強いリーダーシップの下、果敢に取り組んでいかなければ成し得ません。
改めて、男女共同参画社会の実現に向けてどのように推進していくのか、市長のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
市長(鈴木幹夫)
もちろん、昔の状況と今の状況違いますもので、特にプライバシー等々を考えたときに、やはり配慮しなきゃならん。その配慮は、男性の方の見方とやはり女性の見方は違いますもので、やはり女性の立場の方々が委員になられた中でより多く、その女性の視点に立った状況の中で対策をしていくことがよかろうと思います。
それから、10年前の東日本の震災のときも、やはりどうしても後になって、あれもしておけばよかった、これもしておけばよかったということが非常に多かったわけで、多分教訓になっていると思いますから、甲州市においても、今からそういう立場の方を増やしていくべきだと私は考えておりますけれども、よろしくお願いします。
ありがとうございます。大変、市長の力強いお考えをお聞きすることができました。
これまで男女の平等は、とにかく男性の立場から見た平等という価値観が強過ぎたのではないでしょうか。男性のような立ち居振る舞い、男性に合わせた働き方、本当の在り方はそうではないと思います。女性が働きやすい、住みやすい、学びやすい社会は、男性も同様だと思います。甲州市がお互いの価値観を認め合い、個性を尊重し生かせるようにならなければ、これからの未来をつくっていく若い世代が住み続けたいとは思ってくれません。男女共同参画社会の実現に向けて、ここ甲州市の特色を生かした施策展開をぜひ推進していっていただきたいと強く要望いたします。
(以上)