本市において、柿と言えばころ柿というほど特産品となっております。秋から冬にかけて、畑の中や家の軒先などそれは見事なオレンジ色の柿のカーテンができており、甲州市の風物詩となっております。
今年は、長梅雨など天候不順の影響で病気が多発し、管内の柿、今年の柿の収穫量は例年の5割程度になると言われておりますが、被害状況について把握されていらっしゃいますでしょうか。
農林振興課長(日原美希彦)
本年は、梅雨による記録的な長雨と日照不足により本市の基幹産業である果樹が影響を受け、今の時期の特産品でもあるころ柿の産地松里地区などでは柿の葉が少なくなり、果実が成熟前に落果する円星落葉病が相次いで発生し、市内でも圃場や地域により多少の誤差はありますが、過去5年の収穫量と比べますと5割ほどに落ち込む状況です。
こうした中、農家への支援についてはJAなどと連携し、防除対策の指導を行ってまいりたいと考えております。
柿の落葉病は、発生すると葉に褐色の斑点ができる落葉する病気で、落葉が著しいと果実は成熟前に軟化して落下してしまいます。発病してからの防除では効果がないため、感染期と言われる5月から7月の予防が大切になります。
過去には、減収した農家が金融機関から融資を受ける際に利子の補給や乾燥機導入のための助成の支援策を講じておりました。先ほども申しましたが、防除が大変重要となりますので、JAや県と連携されるとおっしゃってはいましたが、本市においても実態をしっかりと把握していただき、農家に寄り添った支援をお願いいたします。
次に、ころ柿を特産品としてさらに広報、支援をどのように推進していくのか伺います。
大変残念なことに、今年はコロナ禍の影響で例年の大田市場などのトップセールスが中止となってしまいました。本市の取り組みについて、市長公式ユーチューブにて動画の配信もされていらっしゃいますが、さらなる広報、支援の考えについてお伺いいたします。
農林振興課長(日原美希彦)
本市特産のころ柿については、既に市場及び消費者から高い評価を受けており、最高級のブランドころ柿として評価されているところでございます。
また、11月から12月初頭にかけて、農家や民家の軒先には柿が天日干しされ、特に松里地区は古民家が多く残っているため、その景色も高く評価を受けこの時期の風物詩にもなっており、多くの観光客が訪れています。また、12月の広報紙の表紙も飾っております。
具体的な支援策としましては、議員ご発言のとおり、ころ柿の産地を守るべく気候に左右されないころ柿の安定生産のための乾燥機の導入についても市も助成した経過もございます。
今後、新型コロナウイルス感染症の終息後は、市長のトップセールスについて実施していきたいと考えており、国内については東京、大阪、また海外にもPRできる機会があればと思っております。
今後もJAと連携し、さらなる宣伝、販売促進を考えております。
農家の方々とお話をしている中で、柿を栽培する上での課題などを相談できる専門家が県内の各機関になかなかいらっしゃらないということをお聞きしました。また、高齢化に伴う生産者の減少や温暖化による品質のばらつきの問題も存在し、柿を収穫しころ柿に加工することが困難となりやめてしまう生産者もいらっしゃるとのことです。
ころ柿として出荷するまでの作業工程は、生産者にとりとても煩雑で、特に高齢者には大変な作業となります。こうした作業工程を困難とする生産者が増えつつある実情に鑑み、皮むきから出荷までの過程を請け負える専門の施設や法人との連携の支援も必要になってくると考えます。また、そういった連携を通してIターン者や新規就農を目指す人に栽培技術や加工方法の指導もお願いするなどすれば、若年層の生産者の増加といったことも期待できるのではないでしょうか。
古くから桃栗三年柿八年と言われるように、柿は一定量を収穫するまでには長い年月が必要となります。本市において圃場面は整っておりますので、最大限生かしていけるよう、さらなるソフト面での強化支援も併せてお願いしたいと強く要望いたします。
本年6月に、令和元年度の食料・農業・農村白書が農林水産省より公表されました。この特集の一つとして輝きを増す女性農業者と大きく取り上げられていましたが、例えば女性農業者の仕事、家事育児の合計時間は7時間7分で、男性に比べて1時間19分多いなど、実態とともに女性の働きやすさ、暮らしやすさ、農業、農村をつくるためには農村における意識改革、そして女性の活躍に関する周囲の理解の促進が必要と記されていました。
また、これまで地域農業のリーダーとして活性化に活躍してきた女性農業者の高齢化も進んでおり、新たな地域リーダーの育成も課題となっております。そこで、本市におきまして女性農業者の活躍支援についてお考えをお伺いいたします。
農林振興課長(日原美希彦)
本市の基幹産業である農業の就業人口として女性は約半数を占め、甲州市の農業の発展において重要な役割を担い、農業生産にも消費者の視点として欠かせない現在、女性農業者の能力を十分に発揮することができる環境を整備することが必要です。
こうした取組の一環として、本市では輝け女性、輝け農業と題し講演会を行ったり、シンポジウムの中で意見交換する場を設けたり、また女性の指導農業士による働きかけでぶどうの剪定・誘引講習会を今年の3月に実施しました。
今後は、農業に携わる女性のネットワークづくりに取り組み、情報交換、共有の場や女性農業者が積極的に活動できる環境を整えていきたいと考えております。
講習会や意見交換会、女性の指導農業士の働きかけによる講習会など実施されているとのことですが、先ほど平塚議員の質問にもありましたが、本市の農業従事者全体数のうち女性農業従事者数の近年の推移についてお伺いいたします。
農林振興課長(日原美希彦)
農林業センサスのデータによりますと、甲州市の女性農業就業人口は平成22年度は2,336人、平成27年度は1,980人となっております。令和2年度につきましては、県の速報値として発表されており、それによりますと県全体で平成27年度に比較しますと17%減となっており、甲州市もその数字に照らし合わせますと1,640人ほどとなり、女性の農業就業人口が顕著に減っている状況が推測されます。
令和2年度は、平成27年度の1,980人からさらに17%減となり、女性の農業就業人口は年々減っているとのこと、大変残念であります。
新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、働き方、そして食べることについて改めて見つめ直す人が増えてきていると思います。働き方については考え方が変わり、新たな職種にチャレンジしようとする方、また食については家での食事の回数が増え、食べ物に対する意識が変わってきていると思います。
私の周りの女性の中では、子どもを畑に連れていきどのように育っているかを教えてあげたい、そして自分で育てた新鮮な野菜を食べさせてあげたいという思いを語られる方もいらっしゃいます。農業に関心はあるけれども、就農までには至っていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
農業というと大変というイメージもありますが、これからはAIなどを活用しながら効率化も図り、働き方も変わっていくのではないかと思いますし、以前に比べ女性も農業に従事しやすくなるのかと考えます。現在活躍の女性農業者の支援はもちろんですが、今後は女性たちが農業に関心を持つための支援も併せて推進していっていただきたと思います。
本年7月1日に、甲州市フルーツ娘25名の委嘱式が行われました。鈴木市長は、まずご自身が甲州市のファンになること、爽やかな笑顔でおもてなしの心を持って活躍してほしいとお伝えされていました。私もそのとおりと思いますし、協働という視点からも、任期終了後も本市に愛着を持って魅力発信をしていただけることが必要だと思います。
このフルーツ娘の皆さんは、具体的にどのような活動をしているのか、役割についてお伺いいたします。
観光商工課長(志村裕喜)
本市では、ぶどうや桃をはじめとするフルーツや甲州市産ワインのPR活動、観光キャンペーンや各種イベントへの協力を目的に、議員のおっしゃったとおり25名の甲州市フルーツ娘を2年任期で委嘱をしております。
本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、キャンペーンや大規模イベントへの協力はいただけておりませんが、ぶどうの丘45周年イベントへの参加、また本年6月定例会での廣瀬一郎議員、9月定例会での丸山議員の一般質問に答弁させていただいたとおり、フルーツ狩りや登山、ぶどうの丘などを舞台とした動画2本を観光協会ホームページにアップいたしました。
中には、SNSを活用し個人的な活動を発信しているフルーツ娘もおりますので、甲州市における活動も積極的にPRしていただいているところであります。
議員のご提言にあるとおり、フルーツ娘を退任した後においても本市に愛着を持ち続け、その魅力を全国、全世界に発信していただけるようお願いをしてまいりたいと思います。
課長のご答弁をお聞きし、フルーツ娘は甲州市のイメージの顔として大きな役目を担っていると感じましたが、選考方法はどのような形でしているのかお聞きします。
観光商工課長(志村裕喜)
フルーツ娘につきましては、甲州市フルーツ娘設置要綱に基づき30名程度を上限に委嘱することとしております。
その選考については、書類選考を経て面接を行い、本市の観光PR、イベントへの参加、メディアへの出演などの適性を見極めた上で決定をさせていただいております。
本年度に委嘱したフルーツ娘は、市内3名、県内13名、外国人の方も含む県外の方9名の合計25名で、多様な人材に甲州市の魅力をよく理解した上で本市のPR活動などを行っていただいております。
にっこりとほほ笑んで立ち、品物をお渡しするだけでなく、甲州市についてはもちろん特産品の詳細な説明とPRのスキルをぜひ身につけていってほしいと思います。
例えば、イベントなどで特産品のPRについても、今の季節はころ柿がお土産に人気ですよとか一言添えるだけでも経済効果があるのではないかと考えます。フルーツ娘あるところに経済効果ありと言わせるような戦略や育て方も必要であり、また選考方法もプレゼンテーション能力の高い人を選考基準に加える工夫も必要ではないかと考えます。
コロナ禍でイベント開催が難しい状況と思いますが、そのような状況だからこそプレゼンテーションスキル向上などの研修にも力を入れていただきながら、任期が終了した後も甲州市のファンとなり、永続的に甲州市の魅力を発信していただける取り組みをよろしくお願いいたします。
上条集落は、養蚕とともに発展してきた特色ある民家が、周辺の畑など自然環境と相まって美しい風景をつくり出しています。
重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けて5年が経過いたしました。防災計画などの環境の整備につきまして、進捗状況をお伺いいたします。
文化財課長(飯島泉)
平成27年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された上条集落につきましては、選定前の平成21年度に地区住民による観音堂の修理が完了し、翌22年度にNPO法人による甲州民家情報館、通称もしもしの家が竣工いたしました。
選定後は、甲州民家情報館に隣接する建物について、先のNPO法人が農泊推進・施設整備事業として上条集落もしもしの家別館保存整備を実施し、平成30年度に竣工し、活用に供されています。
また、保存地区独自の防災計画につきましても、火災対策をはじめ地震対策や土砂災害対策など上条集落の特性を十分に調査した上で策定をしてまいります。
防災計画につきましても、十分に調査をした上で進めていくとのお答えでございました。近年、自然災害も激甚化しておりますので、住民の皆様も安心できるよう、早急に進めていっていただきたいと思います。
また、この地域の実情に詳しい人材で、集落対策の推進に対してノウハウ、知見を有した人材を集落支援員とする事業を総務省がしております。集落への目配り役として集落の現状把握、点検、住民と住民、そして住民と市町村との話合いの促進など多岐にわたりますが、この制度の活用のお考えはありますでしょうか、お伺いいたします。
文化財課長(飯島泉)
議員のおっしゃる集落支援員制度でありますが、この制度の活用につきましては保存地区住民の意向も踏まえる中で検討させていただきたいと思いますが、市独自の取組としまして、平成21年度の観音堂修理以後、教育委員会では保存地区の住民の皆様へ情報提供の方法として上条報告を毎月印刷、配布しております。今月で139号を数える上条報告ですが、県内外の伝建地区の状況や市で実施する文化財保存活用の取組について、また上条集落で行なわれた行事等の情報をまとめたもので、情報収集のため保存地区の方々と密に連絡を取り合っている状況であります。
また、伝建選定後に開催した上条集落見学会は、コロナ禍のため本年1月に第29回を開催した後は実施しておりませんが、状況を見極めて再開したいと考えております。
このように、保存地区の方々と共同して事業に取り組むことにより、保存地区の状況を常時把握できるようにしていきたいと考えております。
課長のお答えの中に、情報収集のために保存地区の方々と密に連絡を取り合っているとのことをお聞きいたしました。また、上条報告ですが、こちら住民の方に配布されているとのことでした。139号までお作りになったということですので、重伝建の価値の再確認という意味でも、また経緯などをより多くの市民の方に知っていただけるよう、総括して周知されたらいかがでしょうか。
また、集落支援員につきましては、上条集落だけでなく広範囲、例えば神金地区をはじめとする山際全体の地区をカバーするという役割を担っていただいてもよろしいかと考えます。
夏場は雑草も生い茂り、管理も大変だと聞いております。そういった環境整備をはじめ課題解決に制度の活用の検討をぜひお願いいたします。
また、今後は町並みの保存と生活の調和を図りながら、保存しながらも持続可能な経済活動、例えば集落ガイドなどによる収益性なども考えていく必要があるのではないでしょうか。
住民と行政、それからNPOなどの協働による総意と工夫で、さらに魅力的な保存地区へなることを期待しております。
先日、オルビスの森の散策に行ってまいりました。森の音楽会ができるステージ、サクラの森とぶどう畑が眺められる展望台もできており、それぞれ木漏れ日のステージ、四季の展望台と名称をお聞きしました。まさに人々が集い、自然と親しむ里山というコンセプトのとおりでありました。
このオルビスの森は、県有林が隣接されていますが、県と具体的な連携がありますでしょうか。
管財課長(小澤和仁)
甲州市オルビスの森につきましては、人々が集い自然と親しむ里山として再生することを目的といたしまして、オルビス株式会社、特定非営利活動法人オイスカ、甲州市里山創造推進協議会及び甲州市の4者による森林整備協定書を平成23年1月に締結したところでございます。
これまでに、オルビス株式会社の社員やご家族の皆様によるボランティアによりまして活動は15回、約1,300名が参加し植林や間伐体験、遊歩道の整備等を行い、本年度は先ほどの議員ご覧いただいたということでございますが、森の音楽会ができる木製ステージとサクラの森、シャトー・メルシャンのぶどう畑を眺めることができる展望台を新設したところでございます。
また、遊歩道を散策しながら楽しめるように、里山散策ガイドマップも作成いたしました。
今後は、森林が有する多様な資源を活用しながら、市民や都会から訪れた方の健康維持や森林環境教育、森林セラピーなどの交流の場として活用を進めてまいりたいと考えているところでございます。
県有林との連携につきましては、今のところ計画はございませんが、今後、調査研究してまいりたいと考えております。
県有林には、神金小学校の学校林もあったりしますし、甲州市森林計画には山地災害の防止、土壌の保全、また文化、生物多様性保全など各機能の波及を図ることも示されています。そのあたり、県との情報共有はされていることと想像はしますが、人々が集い自然と親しむ里山へをコンセプトに観光資源としてさらに推進していくためには、県有林との連携も必要と考えますので、ぜひ調査研究していっていただきたいと思います。
先ほど、課長のご答弁の中に、4者による森林整備協定書が締結されたとありましたが、こちら期限が令和3年度末とお聞きしております。その後の協定はどのようにお考えかお伺いいたします。
管財課長(小澤和仁)
本来であれば、今年度末終わりということだったんですが、話合いの中で議員おっしゃるとおり令和3年度末まで延長したところであります。
また、その後ということでございますが、それは今から協議していかなければとも考えているところでございますが、市といたしましては何らかの形で引き続きご協力をいただけるようなことを願って交渉してまいりたいと考えております。
その後も何らかの交渉をされるというお答えでございました。里山散策のガイドマップも作成されたとのお話でした。例えば先ほど私がお話した上条集落、こちらに訪れる方にも積極的にお配りいただき、上条集落ガイドが誕生した際には活用していただくなど、ツールとして積極的に促進もしていっていただきたいと思います。
また、企業の社会的責任、CSR活動のフィールドとしてご縁をオルビス様とはいただき、市有地がオルビスの森として整備されたことで、本市にとりましても大変価値のある観光資源となりました。そして整備を中心としてこれまでの10年の成果を生かすためにも、本市もこれまで以上に積極的に関わっていくことが重要と考えます。
今後も提携が更新されることを期待し、それに向けて受け身ではない主体的な取り組みが実現できるような体制づくりを要望いたします。よろしくお願いいたします。
新型コロナウイルス感染拡大により各地でテレワークが広がり、都市部から地方で暮らすことへの関心が高まりつつあります。
ポストコロナ社会に向けて、テレワークがどの程度定着するかは見極めも重要、必要ですが、大企業を中心に進んできた働き方改革は、今後あらゆる職種、企業の規模を問わず広がっていくと考えております。社会全体の価値観や消費行動の変化などとともに、働き方や休暇の取り方の多様化が一層進んでいくと思います。
また、本市は甲州市総合戦略の基本目標の中の一つに、「人の流れをつくり、地域経済の創出」を掲げ、取り組んでおります。移住・定住を目的とした移住支援コンシェルジュが設置されて4年が経過されました。取り組みと活動実績についてお伺いいたします。
政策秘書課長(前田政彦)
本年度から5か年計画でスタートしました第2期甲州市総合戦略により、国・県のまち・ひと・しごと創生総合戦略と連携し人口の構造的な課題の解決に取り組み、本市の実情に応じた地方創生に関する各施策を展開をしております。
その中でも、議員ご質問の移住対策、観光振興につきましては、先ほど議員申されたとおり本市総合戦略の中の基本目標の第2番目にございます「甲州市への人の流れをつくり、地域経済を創出」と定めております一つと合致するものであり、最重要課題の一つとして捉えております。
現在、新型コロナウイルス感染拡大によりまして、都市部からの転出が増えてきている状況を鑑みると、移住希望者のニーズを的確に把握した対応が必要と考えております。
具体的な施策の一つとして、平成28年度に立ち上げました移住支援コンシェルジュでは7名の方を任命し、移住前後の支援を様々な角度から行っていただいております。メンバーにつきましては、司法書士、税理士、建築士等の士業の方や地域おこし協力隊出身の方など各方面で活躍されている30代から40代の男性4名、女性3名で構成されておりまして、移住を考えておられる方や移住後の相談など多種多様な内容に柔軟に対応していただいております。また、過去には研修会や講習会を実施し、本年も意見交換会を実施したところであります。
今後も、移住支援コンシェルジュを始め関係機関と協力、連携し、定住人口、交流人口、関係人口に係る事業を積極的に展開していきたいと考えております。
7名の方が多種多様な内容の対応をし、ご活躍されていらっしゃるとのことですが、活動実績といいますか、どのような活動をされていらっしゃるのか、もう少し詳しくお伺いいたします。
政策秘書課長(前田政彦)
移住支援コンシェルジュにつきましては、平成28年8月の広報において募集をし、応募のあった7名の方を任命いたしました。
主な活動といたしましては、まず初年度に県外研修を千葉県内で行うとともに山梨県主催の研修会にも参加し、移住支援に対する認識の共有を行い、本市の移住施策についてもご理解をいただきました。
また、移住支援コンシェルジュの存在を広く知っていただくため、甲州らいふ電子版に移住促進プロジェクトの一つとして7名を紹介し、移住に関心のある方にとってより身近な存在となるよう努めてまいりました。
さらに、30年度にはスキルアップのための講習会を実施し、本年3月には市内移住支援の民間機関と地域おこし協力隊を交えた意見交換会を実施しております。
コロナ禍の影響で、移住支援コンシェルジュの活動が制限をされている昨今ではございますけれども、逆にこのコロナ禍を移住促進のチャンスと捉え、様々な関係者、関係機関と連携協力し、移住対策を展開してまいります。
ワーケーションという概念が注目されています。ワーケーションとは、ウィキペディアより引用させていただきますと、ワーク、労働とバケーション、休暇を組み合わせた造語になり、観光地やリゾート地でテレワークを活用しながら、働きながら休暇を取る過ごし方。働き方改革と新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う新しい日常の奨励の一環として位置づけられるとあります。
コロナ禍により、私たちの社会における働き方や価値観の変化は、都市から地方への人の流れを一層加速させる大きな可能性を秘めています。また、こうした流れが社会全体で進めば、観光以上移住未満な交流も一層進むのではないかと予想され、そこから移住につながることも期待できます。
そうした流れの中、移住したいという思いはあるものの、実際の移住に当たっては住まいや地域の習慣や人付き合いなどのハードルがあり、移住になかなか踏み切れないという方も少なくありません。そんな方が気軽に相談できる窓口としての機能をより発揮できるよう、活動をお願いしたいと思います。
移住がうまく行っている市町村は、移住者が移住者を呼びこんでいる、そういうケースも結構あるようです。移住を考えている方が子育て世代なら子育て世代を紹介したり、やりたい仕事をしている人を紹介したり、人と人をつなげる、そういった細やかなサポートも重要になります。
課長もおっしゃっていましたが、コロナ禍を移住促進のチャンスと捉え、様々な角度から促進していっていただきたいと思います。
少子・高齢化は大きな社会問題となっており、このままでは2046年には日本の総人口は1億人を割り込むと言われています。今後、少子・高齢化が進むと、労働人口の減少、とりわけ若い労働力の縮小と消費市場の縮小による経済の影響が懸念されます。
しかし、一概に経済や生活は人口だけで決まるものではないので、そうした懸念を実現させないためにも自治体や企業、そして市民が協力して築いていく必要があると思います。
近年は、女性の就業率も高くなり、共働きの割合も上昇しています。子育てをしながら働く女性は、育児と仕事を両立させようと数々の困難にぶつかり、孤立した子育てに悩み、多様なニーズが発せられることになります。
さて、本市では令和2年度から第2期甲州市子ども・子育て支援事業計画がスタートされました。その中の本市の女性の就業率は国や県に比べ高い水準で、またニーズ調査においても仕事と家庭生活の両立の支援や政策を望む回答率が高い結果となっておりました。
そこで、本市の子育て支援について、他市とは異なる魅力的な点についてお伺いいたします。
子育て支援課長(手塚秀司)
本市の子育て支援施策につきましては、国・県制度による各種支援事業のほか、出産祝金の支給、ベビーベッド、ベビーバス等の無料貸出し、障害児保育事業補助金、子ども医療費の拡充助成等、主に子育て世帯の経済的なご負担の軽減を図る各種事業を実施しております。
子育てに関わります身体的、精神的なご負担を軽減する施策としては、市内には子育て支援センターが民間運営施設も含め4か所設置されており、これは本市の人口規模を考えますと十分に満たされるものであり、保護者と子どもの交流の場の提供に併せ子育てに関する相談対応の充実が図られております。
そのほか、平成26年度には県内初となる通所型の産後ケア事業である産前産後ママのほっとスペースを開始し、安心して子育てができるまちを目指し、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援が行える体制を整備し、母親が赤ちゃんを連れて気軽に足を運び、体を休めたり助産師や保健師に相談できる場所の提供を行っております。
また、本年4月には、県内自治体でいち早く甲州市福祉あんしん相談センターを設置し、子ども家庭の各種問題に対し専門の相談員が対応する中で、不安の解消や問題の解決に向け必要な支援を行っております。
このような事業は、他市にはない魅力を創出してきたと考えておりますので、今後におきましても関係各課と連携し、子育て支援施策の充実強化に努めてまいります。
実施されている数々の支援事業についてご答弁いただきました。その中で、県内初となる産後ケア、産前産後ママのほっとスペースの利用者数、こちらをお伺いいたします。
子育て支援課長(手塚秀司)
産前産後ママのほっとスペースにつきましては、開設以来多くのお母さん方にご利用いただき、本市が目指しております安心して子育てができるまちの核となる施設として運営しております。
本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大のため今日まで開催しておりませんが、令和元年度実績では利用実人数は112人でありました。この利用実人数を対象者となる平成30年11月から令和2年3月までの出生児数189人で除しますと、利用率は59.3%、およそ6割の妊産婦の方にご利用いただいていることとなります。
なお、1人当たり平均で年5.5回のご利用であり、気軽にお立ちよりいただいていることから、助産師や保健師が子育て等の相談に応じていることの表れでもありますので、引き続き妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援を提供する施設として運営してまいります。
6割の方、多くの方が利用されているとのご答弁でした。
他市では、「母になるなら、流山市」などキャッチコピーをつくり子育て世代にアピールしています。本市ならではの魅力の創出を引き続き行っていただき、ぜひ子育ての日本一甲州市を目指していただきたいと思います。
それにはやはり、子育て世代のお声が市にいかにワンストップで届き、施策を講じていくか、その仕組みづくりが必要ではないかと考えます。そのためには、パブリックコメント、こちらの活用は大変重要になってくるのかと思います。
第2期甲州市子ども・子育て支援事業計画策定の際は、アンケート調査を通じて子育て支援のニーズや子どもたちの生活実態について把握され、計画に反映されているとは思いますが、パブリックコメントは残念ながらありませんでした。
このパブリックコメントについては、課を超えて全庁的、また横断的なお話になるかもしれませんが、LINE公式アカウントを使ってパブリックコメントを出せる市町村もあるようです。セキュリティーに関する課題もあるかと想像はしますが、市民の皆様の意見が非常に反映しやすい仕組みづくり、一歩進んだ参画となるよう、LINEでなくても情報系端末を活用したパブリックコメントの収集は、これからの時代は特に子育て世代からご意見をいただく場合は大変有効ではないでしょうか。こういった仕組みづくりも魅力的な支援につながると考えます。
今後も、子育て世代の方に寄り添った魅力的な支援事業構築をよろしくお願いいたします。
次に、子育て短期支援事業についてお伺いいたします。
子育て短期支援事業とは、病気や出産、仕事、育児上の心身のストレスなどにより子どもの世話が一時的に困難となった場合、子どもを児童養護施設などで一時的に短期間預かることのできる事業となります。特に、育児による疲労の方は支援が必要で、SOSが出されているのであればどこかにつなぐ必要がある状態だと思いますし、育児が家族だけではやり切れない状況にある家庭や近くに助けてくれる人がいない場合もあります。
この子育て短期支援事業につきまして、本市において今後、実施していくお考えがあるのかお伺いいたします。
子育て支援課長(手塚秀司)
子育て短期支援事業につきましては、先ほど議員も申し上げましたが、保護者の疾病や育児疲れ、仕事等に起因する社会的事由等により家庭における養育が一時的に困難となった児童について、児童養護施設等において短期間お預かりし養育・保護を行います短期入所生活援助事業と、保護者が仕事等により平日の夜間、または休日に不在となり児童の養育が一時的に困難となった場合等において、緊急に児童養護施設等で適切に児童を保護いたします夜間養護等事業がございます。
平成30年度に行ないました子ども・子育て支援事業計画策定のためのニーズ調査では、いずれの事業も市民の皆様からのニーズがなかったことから、本市では子育て短期支援事業は実施しておりません。
ニーズがなかった理由といたしましては、本市では不定期に保育等を提供する事業といたしまして一時預かり事業やファミリーサポートセンター事業等の類似事業が充実していること、また祖父母等の支援が受けられていること等が考えられます。
一時的に養育・保護が必要となる児童に対応するため、引き続き市民の皆様のニーズを的確に把握する中で必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
短期支援事業につきましては、本市では一時預かり、ファミリーサポートなどの類似事業が充実していること、そして祖父母などの支援が受けられていることでニーズがなかったとのこと、ご答弁でした。
しかし、家族構成や個人の価値観も多様化していく中で、従来型の支援だけでなく多角的な事業の拡充も必要になります。
また、厚生労働省の発表によりますと、全国の児童相談所が2019年度に対応した18歳未満の子どもへの虐待件数の速報値は19万3,780件と過去最多でした。これは、虐待への問題意識が高まるにつれ、従来なら見過ごされていたような事例が表面化されている可能性があるとされています。
最近、レスパイトケアという言葉を耳にします。レスパイトとは息抜き、一休みを意味し、一時的に育児や介護から解放され、リフレッシュや休息をとることです。海外では、レスパイトケアは児童虐待の軽減としても位置づけられています。出産や病気、行事などの緊急対応に加え、保護者の育児不安に対するレスパイト機能という側面も期待されるようになるのではないでしょうか。
また、近隣の市町村ではこの子育て支援短期事業を展開しており、本市にあります児童福祉施設へ利用施設登録の要請があったとお聞きしました。本市におきましても、アウトリーチ、そして環境が整っていますよという受皿の視点で、いま一度この事業について再考を図っていただけたらと思います。
誰もが安心して子育てができ、そして子どもたちがこの甲州市をふるさととして夢を育むことのできる子育て支援事業の充実の強化を図っていただくことを要望いたします。
(以上)